妙子も告別式には出たが、火葬場へは行かないでしまった。
彼女は帰って来て、案外多くの参会者があったこと、おやと思うような人の顔も見え、板倉がいつの間にそんな方面にまで交際の手をひろげていたのか、彼女でさえも意外に感じたこと、その日も啓坊がおっちょこちょいを発揮して、店員達と一緒に棺側に列んだことなどを話した。
遺骨は親兄弟たちが郷里の寺へ持って行って埋葬すると云うことであったが、彼等が田中の板倉写真館を閉じて引き揚げて行った時にも、蒔岡方へ何の挨拶にも来なかったのは、多分これ以上の交際を遠慮したのであろう。