彼の好きなものは第一に語学、それから機械体操、図画唱歌などで、英語は既に四年生時分から、卒業程度の学力を具えて居たと見え、種々雑多な小説類や哲学的の書籍に目を曝して居た様子です。
そうして、自分の家庭に西洋人の教師を聘して、いつの間にか独逸語や仏蘭西語など迄読んだり話したりする様になって居ました。
彼の喉と舌とは、余程外国語の発音に適当して居たらしく、学校で教わって居るつまらないリーダーの文章ですら、一と度び彼に朗読されると何とも云えない流暢な響きを伝えて、忽ち金玉の文字と化し去るような気がするのです。