小川の滸には両岸に水仙、山吹、菖蒲、桔梗、女郎花など四季とり/″\の草花を数限りなく培養し、日照りのよい南面の傾斜地には桃の林を作り、其処には牛、羊、孔雀、駝鳥などいろ/\の禽獣を放ちました。
さて、此の千態万状を極めた山水の勝景に拠って古今東西の様式の粋を萃めた幾棟の建築物が建てられるのです。
突兀として矗立して居る南画風の奇峰の頂辺には、遊仙窟の詩を想い出すような支那流の楼閣が聳え、繚乱たる花園の噴水の周囲には希臘式の四角な殿堂が石の円柱を繞らし、湖に突き出た岬の一角には藤原時代の釣殿が水に近く勾欄を横え、風を遮る森林の奥には羅馬時代の大理石造の浴室が沸々として珠玉のような湯を漲らせます。