全くこれではナオミの云う通り、会う程のことはなかったのです。
世の中には随分無責任な親や兄弟もあるものだと、私は、その時つくづくと感じましたが、それだけ一層ナオミがいじらしく、哀れに思えてなりませんでした。
何でも母親の言葉に依ると、彼等はナオミを持て扱っていたらしいので、「実はこの児は芸者にする筈でございましたのを、当人の気が進みませんものですから、そういつまでも遊ばせて置く訳にも参らず、拠んどころなくカフエエへやって置きましたので」と、そんな口上でしたから、誰かが彼女を引き取って成人させてくれさえすれば、まあともかくも一と安心だと云うような次第だったのです。