私は会社から、彼女は稽古から、夕方家へ帰って来ると、印度更紗の窓かけを洩れる太陽は、真っ白な壁で塗られた部屋の四方を、いまだにカッキリと昼間のように照らしている。
彼女はフランネルの単衣を着て、素足にスリッパを突ッかけて、とんとん床を蹈みながら習って来た唄を歌ったり、私を相手に眼隠しだの鬼ごッこをして遊んだり、そんな時にはアトリエ中をぐるぐると走り廻ってテーブルの上を飛び越えたり、ソオファの下にもぐり込んだり、椅子を引っ繰り覆したり、まだ足らないで梯子段を駆け上がっては、例の桟敷のような屋根裏の廊下を、鼠の如くチョコチョコと往ったり来たりするのでした。
一度は私が馬になって彼女を背中に乗せたまま、部屋の中を這って歩いたことがありました。