ところがいよいよと云う日になって、横須賀行の二等室へ乗り込んだ時から、私たちは一種の気後れに襲われたのです。
なぜかと云って、その汽車の中には逗子や鎌倉へ出かける夫人や令嬢が沢山乗り合わしていて、ずらりときらびやかな列を作っていましたので、さてその中に割り込んで見ると、私はとにかく、ナオミの身なりがいかにも見すぼらしく思えたものでした。
勿論夏のことですから、その夫人達や令嬢達もそうゴテゴテと着飾っていた筈はありません、が、こうして彼等とナオミとを比べて見ると、社会の上層に生れた者とそうでない者との間には、争われない品格の相違があるような気がしたのです。