ナオミもカフエエにいた頃とは別人のようになりはしたものの、氏や育ちの悪いものは矢張どうしても駄目なのじゃないかと、私もそう思い、彼女自身も一層強くそれを感じたに違いありません。
そしていつもは彼女をハイカラに見せたところの、あのモスリンの葡萄の模様の単衣物が、まあその時はどんなに情なく見えたことでしょう。
並居る婦人達の中にはあっさりとした浴衣がけの人もいましたけれど、指に宝石を光らしているとか、持ち物に贅を凝らしているとか、何かしら彼等の富貴を物語るものが示されているのに、ナオミの手にはその滑かな皮膚より外に、何一つとして誇るに足るものは輝いていなかったのです。