全くあの頃のナオミは、その体つきが一日々々と女らしく、際立って育って行きましたから、ちょうど赤子を産んだ親が「始めて笑う」とか「始めて口をきく」とか云う風に、その子供の生い立のさまを書き留めて置くのと同じような心持で、私は一々自分の注意を惹いた事柄を日記に誌したのでした。
私は今でもときどきそれを繰って見ることがありますが、大正某年九月二十一日―――即ちナオミが十五歳の秋、―――の条にはこう書いてあります。
「夜の八時に行水を使わせる。
全くあの頃のナオミは、その体つきが一日々々と女らしく、際立って育って行きましたから、ちょうど赤子を産んだ親が「始めて笑う」とか「始めて口をきく」とか云う風に、その子供の生い立のさまを書き留めて置くのと同じような心持で、私は一々自分の注意を惹いた事柄を日記に誌したのでした。
私は今でもときどきそれを繰って見ることがありますが、大正某年九月二十一日―――即ちナオミが十五歳の秋、―――の条にはこう書いてあります。
「夜の八時に行水を使わせる。