ですからそれは云うまでもなく、ナオミに関した事柄ばかりを記したもので、やがて私は写真機を買い、いよいよメリー・ピクフォードに似て来る彼女の顔をさまざまな光線や角度から映し撮っては、記事の間のところどころへ貼りつけたりしました。
日記のことで話が横道へ外れましたが、とにかくそれに依って見ると、私と彼女とが切っても切れない関係になったのは、大森へ来てから第二年目の四月の二十六日なのです。
尤も二人の間には云わず語らず「了解」が出来ていたのですから、極めて自然に孰方が孰方を誘惑するのでもなく、殆どこれと云う言葉一つも交さないで、暗黙の裡にそう云う結果になったのです。