「河合先生」もこの可愛らしい生徒に対しては厳格にする勇気がなく、叱言の果てがたわいのない悪ふざけになってしまいます。
一体ナオミは、音楽の方はよく知りませんが、英語の方は十五の歳からもう二年ばかり、ハリソン嬢の教を受けていたのですから、本来ならば十分出来ていい筈なので、リーダーも一から始めて今では二の半分以上まで進み、会話の教科書としては“English Echo”を習い、文典の本は神田乃武の“Intermediate Grammar”を使っていて、先ず中学の三年ぐらいな実力に相当する訳でした。
けれどもいくら贔屓眼に見ても、ナオミは恐らく二年生にも劣っているように思えました。