なぜならその眼は女のものとは思われない程、烱々として強く凄じく、おまけに一種底の知れない深い魅力を湛えているので、グッと一と息に睨められると、折々ぞっとするようなことがあったからです。
その時分、私の胸には失望と愛慕と、互に矛盾した二つのものが交る交る鬩ぎ合っていました。
自分が選択を誤ったこと、ナオミは自分の期待したほど賢い女ではなかったこと、―――もうこの事実はいくら私のひいき眼でも否むに由なく、彼女が他日立派な婦人になるであろうと云うような望みは、今となっては全く夢であったことを悟るようになったのです。