にも拘わらず、現に自分の身を亡ぼすのが分っていながら欺されてしまうと云うのは、余りと云えば腑甲斐ないことだ、事実その通りだったとすると、英雄なんて何もそれほど偉い者ではないかも知れない、私はひそかにそう思って、マーク・アントニーが「古今無類の物笑いの種」であり、「このくらい歴史の上に馬鹿を曝した人間はない」と云う教師の批評を、そのまま肯定したものでした。
私は今でもあの時の教師の言葉を胸に浮かべ、みんなと一緒にゲラゲラ笑った自分の姿を想い出すことがあるのです。
そして想い出す度毎に、もう今日では笑う資格がないことをつくづくと感じます。