この婦人連を取り巻いて、つつましやかに自分の番を待ち受けている人々もあり、中には既に一と通りの練習を積んだらしく、てんでに腕を組み合わせて、稽古場の隅を踊り廻っているのもあります。
幹事の浜田は夫人の代理と云う格なのか、自分でそれを気取っているのか、そんな連中の相手になって踊ってやったり、蓄音器のレコードを取り換えたりして、独りで目まぐるしく活躍しています。
一体女は別として、男でダンスを習いに来ようと云う者は、どう云う社会の人間なのかと思って見ると、不思議なことにしゃれた服を着ているのは浜田ぐらいで、あとは大概安月給取りのような、野暮くさい紺の三つ組みを着た、気の利かなそうなのが多いのでした。