そして私はこんな場合に、「ちょっと失礼いたします」と、いい潮時を見計って席を外すと云うような、器用な真似が出来ないので、この饒舌家の婦人の間に挟まった不運を嘆息しながら、否でも応でもそれを拝聴していなければなりませんでした。
やがて、髭のドクトルを始めとして石油会社の一団の稽古が終ると、女史は私とナオミとをシュレムスカヤ夫人の前へ連れて行って、最初にナオミ、次に私を、―――これは多分レディーを先にすると云う西洋流の作法に従ったのでしょう、―――極めて流暢な英語で以て引き合わせました。
その時女史はナオミのことを「ミス・カワイ」と呼んだようでした。