やがて、髭のドクトルを始めとして石油会社の一団の稽古が終ると、女史は私とナオミとをシュレムスカヤ夫人の前へ連れて行って、最初にナオミ、次に私を、―――これは多分レディーを先にすると云う西洋流の作法に従ったのでしょう、―――極めて流暢な英語で以て引き合わせました。
その時女史はナオミのことを「ミス・カワイ」と呼んだようでした。
私は内々、ナオミがどんな態度を取って西洋人と応対するか、興味を持って待ち受けていましたが、ふだんは己惚れの強い彼女も、夫人の前へ出てはさすがにちょっと狼狽の気味で、夫人が何か一と言二た言云いながら、威厳のある眼元に微笑を含んで手をさし出すと、ナオミは真っ赤な顔をして何も云わずにコソコソと握手をしました。