と、例のマンドリン倶楽部の学生たちがそんな悪口を云っているのを、私は後で聞いたことがありますし、西洋人には腋臭が多いそうですから、夫人も多分そうだったに違いなく、それを消すために始終注意して香水をつけていたのでしょうが、しかし私にはその香水と腋臭との交った、甘酸ッぱいようなほのかな匂が、決して厭でなかったばかりか、常に云い知れぬ蠱惑でした。
それは私に、まだ見たこともない海の彼方の国々や、世にも妙なる異国の花園を想い出させました。
「ああ、これが夫人の白い体から放たれる香気か」
と、例のマンドリン倶楽部の学生たちがそんな悪口を云っているのを、私は後で聞いたことがありますし、西洋人には腋臭が多いそうですから、夫人も多分そうだったに違いなく、それを消すために始終注意して香水をつけていたのでしょうが、しかし私にはその香水と腋臭との交った、甘酸ッぱいようなほのかな匂が、決して厭でなかったばかりか、常に云い知れぬ蠱惑でした。
それは私に、まだ見たこともない海の彼方の国々や、世にも妙なる異国の花園を想い出させました。
「ああ、これが夫人の白い体から放たれる香気か」