「………何分この頃は物価高く、二三年前とは驚くほどの相違にて、さしたる贅沢を致さざるにも不拘、月々の経費に追われ、都会生活もなかなか容易に無之、………」
と、そう書いたのを覚えていますが、親に向ってこんな上手な嘘を云うほど、それほど自分が大胆になってしまったかと思うと、私は我ながら恐ろしい気がしました。
が、母は私を信じている上に、悴の大事な嫁としてナオミに対しても慈愛を持っていたことは、二三日してから手許に届いた返辞を見ても分りました。
「………何分この頃は物価高く、二三年前とは驚くほどの相違にて、さしたる贅沢を致さざるにも不拘、月々の経費に追われ、都会生活もなかなか容易に無之、………」
と、そう書いたのを覚えていますが、親に向ってこんな上手な嘘を云うほど、それほど自分が大胆になってしまったかと思うと、私は我ながら恐ろしい気がしました。
が、母は私を信じている上に、悴の大事な嫁としてナオミに対しても慈愛を持っていたことは、二三日してから手許に届いた返辞を見ても分りました。