彼等の視線が、ナオミばかりか、彼女のうしろに小さくなって立っている私の上にも注がれていることを、はっきりと感じました。
私の耳にはオーケストラの音楽がガンガン鳴り響き、私の眼の前には踊りの群衆が、………みんな私より遥に巧そうな群衆が、大きな一つの環を作ってぐるぐると廻っています。
同時に私は、自分がたった五尺二寸の小男であること、色が土人のように黒くて乱杭歯であること、二年も前に拵えた甚だ振わない紺の背広を着ていることなどを考えたので、顔がカッカッと火照って来て、体中に胴ぶるいが来て、「もうこんなところへ来るもんじゃない」と思わないではいられませんでした。