可愛いダンスの草履を穿いた白足袋の足を爪立てて、くるりくるりと身を飜すと、華やかな長い袂がひらひらと舞います。
一歩を蹈み出す度毎に、着物の上ん前の裾が、蝶々のようにハタハタと跳ね上ります。
芸者が撥を持つ時のような手つきで熊谷の肩を摘まんでいる真っ白な指、重くどっしり胴体を締めつけた絢爛な帯地、一茎の花のように、この群集の中に目立っている項、横顔、正面、後の襟足、―――こうして見ると、成る程和服も捨てたものではありません、のみならず、あのピンク色の洋服を始め突飛な意匠の婦人たちが居るせいか、私が密かに心配していた彼女のケバケバしい好みも、決してそんなに卑しくはありません。