毎晩々々、私がこの女を抱いてやるとき、常にこう云う角度からこの洞穴を覗き込み、ついこの間もしたようにその洟をかんでやり、小鼻の周りを愛撫してやり、又或る時は自分の鼻とこの鼻とを、楔のように喰い違わせたりするのですから、つまりこの鼻は、―――この、女の顔のまん中に附着している小さな肉の塊は、まるで私の体の一部も同じことで、決して他人の物のようには思えません。
が、そう云う感じを以て見ると、一層それが憎らしく汚らしくなって来るのでした。
よく、腹が減った時なぞにまずい物を夢中でムシャムシャ喰うことがある、だんだん腹が膨れて来るに随って、急に今まで詰め込んだ物のまずさ加減に気がつくや否や、一度に胸がムカムカし出して吐きそうになる、―――まあ云って見れば、それに似通った心地でしょうが、今夜も相変らずこの鼻を相手に、顔を突き合わせて寝ることを想像すると、「もうこの御馳走は沢山だ」と云いたいような、何だかモタレて来てゲンナリしたようになるのでした。