「当分、………ナオミさんのことを忘れることが出来るまでは。
そう云って彼は、涙を隠しながら帽子を冠って、「さよなら」と云いさま、「松浅」の前を品川の方へ、電車にも乗らずにてくてく歩いて行きました。
私はそれからとにかく会社へ出かけましたが、勿論仕事など手につく筈はありません。
「当分、………ナオミさんのことを忘れることが出来るまでは。
そう云って彼は、涙を隠しながら帽子を冠って、「さよなら」と云いさま、「松浅」の前を品川の方へ、電車にも乗らずにてくてく歩いて行きました。
私はそれからとにかく会社へ出かけましたが、勿論仕事など手につく筈はありません。