だがそれにしてもイヤに様子が静かなのはどうしたんだろう、どんな顔つきをしているだろうと、まだ幾分胸騒ぎに駆られながら、私はそっと縁側へ上り、離れの障子を明けました。
と、もう夕方の六時が少し廻った時分で、明りのとどかない部屋の奥の隅の方に、ナオミはだらしない恰好をして、ふん反り返ってぐうぐう眠っているのでした。
蚊に喰われるので、彼方へ転がり此方へ転がりしたものでしょう、私のクレバネットを出して腰の周りを包んではいましたが、それで器用に隠されているのはほんの下っ腹のところだけで、紅いちぢみのガウンから真っ白い手足が、湯立ったキャベツの茎のように浮き出ているのが、そう云う時には又運悪く、変に蠱惑的に私の心を掻き挘りました。