会社へ行っても依然として熊谷のことが心配になる。
留守の間の彼女の行動が気になる余り、毎朝家を出かけると見せてこっそり裏口へ立ち廻ったり、彼女が英語や音楽の稽古に行くと云う日は、そっとその跡をつけて行ったり、時々彼女の眼を偸んでは、彼女宛てに来る手紙の内容を調べて見たり、そう云う風にまで私が秘密探偵のような気持になるに随い、ナオミはナオミで、腹の中ではこのしつッこい私のやり方をせせら笑っているらしく、言葉に出して云い争いはしないまでも、変に意地悪い素振りを見せるようになりました。
「おい、ナオミ!