私は心も狂おしくなり、口惜しまぎれに地団太を蹈み、なおも日記を繰って行くと、まだまだ写真が幾色となく出て来ました。
その撮り方はだんだん微に入り、細を穿って、部分々々を大映しにして、鼻の形、眼の形、唇の形、指の形、腕の曲線、肩の曲線、背筋の曲線、脚の曲線、手頸、足頸、肘、膝頭、足の蹠までも写してあり、さながら希臘の彫刻か奈良の仏像か何かを扱うようにしてあるのです。
ここに至ってナオミの体は全く芸術品となり、私の眼には実際奈良の仏像以上に完璧なものであるかと思われ、それをしみじみ眺めていると、宗教的な感激さえが湧いて来るようになるのでした。