誰か荷物を取って来てくれろ」と、ナオミは何処までも強気に出る。
そして殆ど心配などはしていないように、平気な顔で冗談を云ったり、気焔を吐いたり、英語交りにまくし立てたり、ハイカラな衣裳や持ち物などを見せびらかしたり、まるで貴族のお嬢様が貧民窟を訪れたように、威張り散らしていやしないか。
しかしナオミが何と云っても、とにかく事件が事件であるから、早速誰かが飛んで来なければならない筈だが、………若し当人が「詫まりになんか行かない」と云うなら、姉か兄貴が代りにやって来るところだが、………それともナオミの親兄弟は誰も親身にナオミのことを案じてなんぞいないのだろうか?