けれどもその晩、待てど暮らせどナオミの使は来ませんでした。
私はあたりが真っ暗になるまで電燈をつけずに置いたので、若しも空家と間違えられたら大変だと思って、慌てて家じゅうの部屋と云う部屋へ明りを燈し、門の標札が落ちていやしないかと改めて見、戸口のところへ椅子を持って来て何時間となく戸外の足音を聞いていましたが、八時が九時になり、十時になり、十一時になっても、………とうとう朝からまる一日立ってしまっても、何の便りもありません。
そして悲観のどん底に落ちた私の胸には、又いろいろな取り止めのない臆測が生じて来るのでした。