あなたはそれを御存じないから、却って幸福だったけれど、僕はつくづく浅ましい気がして、どうかしてナオミさんを救い出そうと思ったんですが、意見をするとつんと怒って、あべこべに僕を馬鹿にするんで、手の附けようがなかったんです」
浜田もさすがにあの時分のことを想い出したのか、感傷的な口調になって、
「ねえ河合さん、僕はいつぞや『松浅』でお目に懸った時、こんなことまではあなたに云わなかったでしょう。
あなたはそれを御存じないから、却って幸福だったけれど、僕はつくづく浅ましい気がして、どうかしてナオミさんを救い出そうと思ったんですが、意見をするとつんと怒って、あべこべに僕を馬鹿にするんで、手の附けようがなかったんです」
浜田もさすがにあの時分のことを想い出したのか、感傷的な口調になって、
「ねえ河合さん、僕はいつぞや『松浅』でお目に懸った時、こんなことまではあなたに云わなかったでしょう。