私の下に二人の妹があるだけで、総領息子を手放すことは、女親としては淋しくもあり心細くもあったでしょうに、母は一度も愚痴をこぼしたことはなく、常に私の立身出世を祈っていました。
それ故私は、彼女の膝下にいた時よりも遠く離れてしまった時に、一層強く、彼女の慈愛のいかに深いかを感じたものです。
殊にナオミとの結婚前後、それに引き続いていろいろの我が儘を、母が快く聴いてくれる度毎に、その温情を涙ぐましく思わないことはなかったのです。
私の下に二人の妹があるだけで、総領息子を手放すことは、女親としては淋しくもあり心細くもあったでしょうに、母は一度も愚痴をこぼしたことはなく、常に私の立身出世を祈っていました。
それ故私は、彼女の膝下にいた時よりも遠く離れてしまった時に、一層強く、彼女の慈愛のいかに深いかを感じたものです。
殊にナオミとの結婚前後、それに引き続いていろいろの我が儘を、母が快く聴いてくれる度毎に、その温情を涙ぐましく思わないことはなかったのです。