そんなこんなで私は愈〻イヤ気がさして、二七日の日に一と晩泊りで帰省した折、「そのうち会社を罷めるかも知れない」と、叔父に洩らしたくらいでした。
叔父は「まあまあ」と云って、深くも取り上げてくれないので、又明くる日から渋々会社へ出ましたけれど、会社にいる間はまだいいとして、夕方から夜の時間が、どうにも私には過しようがありません。
それと云うのが、田舎へ引っ込むか、断然東京に蹈み止まるか、その決心がつきませんから、私は未だに下宿住まいをするのでもなく、ガランとした大森の家に独りで寝泊りをしていたのです。