それから私は、ぐるりと彼女に背中を向けて黙っていました。
暫くの間、彼女は私の枕もとでばたンばたン云わせながら、風呂敷包みを拵えているのでしたが、そのうちにきゅッと帯を解くような音がしたので、気が付いて見ると、彼女は部屋の隅の方の、しかも私の視線の届く場所へやって来て、後向きになって、着物を着換えているのです。
私はさっき、彼女が此処へ這入って来た時、早くも彼女の服装に注意したのですが、それは見覚えのない銘仙の衣類で、しかも毎日そればかり着ていたものか、襟垢が附いて、膝が出て、よれよれになっているのでした。