これは彼女がいやが上にも私を懊らす計略だろう、懊らして懊らし抜いて、「時分はよし」と見た頃に突然「友達」の仮面を脱ぎ、得意の魔の手を伸ばすであろう、今に彼女はきっと手を出す、出さないで済ます女ではない、此方はせいぜい彼女の計略に載せられてやって「ちんちん」と云えば「ちんちん」をする、「お預け」と云えば「お預け」をする、何でも彼女の注文通りに芸当をやっていれば、しまいには獲物に有りつけるだろうと、毎日々々、鼻をうごめかしていましたが、私の予想は容易に実現されそうもなく、今日はいよいよ仮面を脱ぐか、明日は魔の手が飛び出すかと思っても、その日になると危機一髪と云うところでスルリと逃げられてしまうのです。
そうなると私は、今度はほんとうに懊れ出しました。
「己はこの通り待ちかねているんだ、誘惑するなら早くしてくれ」と云わぬばかりに、体中に隙を見せたり、弱点をさらけ出したりして、果ては此方からあべこべに誘いかけたりしました。