其の癖喋りながら銘々相応に達者な神経を働かせて、対手の懐を読んで見たが、念入りに揃いも揃って文なしらしかった。
こう云う際に一人でも金を持って居たら外の二人が寄ってたかって、貸したものを取るような勢で奢らせずには措かないのだから、少しでも懐の暖かい奴の顔には一種の恐慌が表れて居なければならない筈なのだ。
で、若し飲もうと云い出して誰も金がないとなると猶更悲惨になるから、三人申し合わせたようにジッと我慢をし抜き、成る可く現実隠蔽の悲哀の近所へは近寄らぬようにして、ヤケに笑ったり喋ったりしながら歩いた。