十一時過ぎに開明館を出て、暗い寒い夜路を四丁目の電車停留所迄出る間に、私は遂に下駄の鼻緒をやっつけて了った。
で、夜を幸い見えも外聞もなく手拭で足を台へ縛り付けて歩いた。
私は此の頃激しい Hypochondria に陥り、たった独りになると獰猛なる強迫観念に襲われて、居ても立っても堪らなくなるのだが、不思議と今夜は神経が下駄の方へ使われて、一向恐ろしがる気が出ない。
十一時過ぎに開明館を出て、暗い寒い夜路を四丁目の電車停留所迄出る間に、私は遂に下駄の鼻緒をやっつけて了った。
で、夜を幸い見えも外聞もなく手拭で足を台へ縛り付けて歩いた。
私は此の頃激しい Hypochondria に陥り、たった独りになると獰猛なる強迫観念に襲われて、居ても立っても堪らなくなるのだが、不思議と今夜は神経が下駄の方へ使われて、一向恐ろしがる気が出ない。