で、自然此方は聞き役になって客が一人でしゃべることになり、私の心はともすると遠く談話の主題から離れてあらぬ方へ憧れて行き、客を全く置き去りにして勝手気儘な空想を追いかけたり、ついさっき迄書いていた創作の世界へ飛んで行ったりする。
従って、ときどき「はい」とか「ふん」とか受け答えはしているものの、それがだん/\上の空になり、とんちんかんになり、間が空き過ぎたりすることを免れない。
時にはハッとして礼を失していたことに心づき、気を引き締めて見るのであるが、その努力も長続きがせず、やゝもすれば直ぐまた遊離しようとする。