と云うのは、今日でも美人が好きであることに変りはないのだけれども、年を取ってからは美人に対する注文が大変面倒になって来ているので、普通の美人と云うものは、殊に今日の尖端的タイプに属する美人と云うものは、私には少しも美人とは映らず、却って悪感を催すに過ぎない。
私は私でひそかに佳人の標準を極めているのであるが、それに当て篏まる人と云うものは寔に暁天の星の如くであるから、そんなものが無闇に出現しようとは思ってもいない。
むしろ私は今日までに知ることを得た何人かの佳人との間に、今後も交際をつゞけて行かれれば満足であり、老後の私の人生はそれで十分花やかであって、それ以上の刺戟は欲しくないのである。