それでも私は頑として応じないので、取次の者が板挟みになって困ることは始終である。
東京その他遠隔の地から来た人の場合、断るのは忍びないけれども、やはり紹介状のない人には会わないと云う鉄則を厳重に押し通していると云うのは、それが評判になってくれた方が、結局後のためによいからである。
中には私の知人の名を挙げ、何々先生とは御懇意に願っておりまして、とか、何々先生が紹介状を書いて上げようと仰っしゃったんですが、とか云う人があるが、それなら面倒でももう一度出直して何々君に紹介状を貰って来て下さい、と云うと、そう云う人はそれっきり来ないのが普通である。