仕方がないから新聞を讀まうとすると、さつきの紳士が二枚とも持つて行つてしまつた。
が、何分眼惚けてゐたものだから、それがどんな男だつたか、キヨロキヨロ見廻してもよく分らない。
そのうちに夙川へ來る、蘆屋川へ來る、いよいよ次ぎの岡本で降りようと思つて立ち上ると、やつとその男が返しに来た、見れば四十恰好の、髯を生やした紳士だつたが、此奴の方では恐らく私が眼を覺ましたのを知つてゐたのだ、さうして平氣で讀んでゐたのに違ひないのだ。
仕方がないから新聞を讀まうとすると、さつきの紳士が二枚とも持つて行つてしまつた。
が、何分眼惚けてゐたものだから、それがどんな男だつたか、キヨロキヨロ見廻してもよく分らない。
そのうちに夙川へ來る、蘆屋川へ來る、いよいよ次ぎの岡本で降りようと思つて立ち上ると、やつとその男が返しに来た、見れば四十恰好の、髯を生やした紳士だつたが、此奴の方では恐らく私が眼を覺ましたのを知つてゐたのだ、さうして平氣で讀んでゐたのに違ひないのだ。