谷崎潤一郎 『母を恋うる記』 風は妙に湿り気を含んだ、潮の香の高い風であった。 きっと海が近いんだなと、私は思った。 私は七つか八つの子供であったし、おまけに幼い時分から極めて臆病な少年であったから、こんな夜更けにこんな淋しい田舎路を独りで歩くのは随分心細かった。 谷崎潤一郎の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア