谷崎潤一郎 『母を恋うる記』 或は私の空耳であるかも知れないけれど、兎に角それは三味線の音のようであった。 ふっと跡絶えては又ふっと聞えて来る音色の工合が、どうも三味線に違いない。 日本橋にいた時分、乳母の懐に抱かれて布団の中に睡りかけていると、私はよくあの三味線の音を聞いた。 谷崎潤一郎の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア