ま、あのくらゐな音は何でもないかも知れないけれども、深夜、一室に閉ぢ籠り、カタリと云ふ物音もしない中で、静かに想を練り筆を運ぶ者に取つては、実にあれだけの些細な音でも異様に耳につくのである。
そして、時にはあの響きが随分神経を疲らせたり昂ぶらせたりすることがある。
然るに毛筆は、どんなに急いで書いたにしても、絶対に音を立てない。
ま、あのくらゐな音は何でもないかも知れないけれども、深夜、一室に閉ぢ籠り、カタリと云ふ物音もしない中で、静かに想を練り筆を運ぶ者に取つては、実にあれだけの些細な音でも異様に耳につくのである。
そして、時にはあの響きが随分神経を疲らせたり昂ぶらせたりすることがある。
然るに毛筆は、どんなに急いで書いたにしても、絶対に音を立てない。