此の唄を、今も云ふやうに鈴を振りながら唄つてゐるのは、又別な二人の婆さんと、三十恰好の年増である。
その中の一人の婆さんは、黒縮緬の紋附を羽織つた、でつぷり太つた元氣の好さゝうな人柄であるが、とき/″\見物の方へ扇をさし出して、「どうか皆さん、お志を投げてやつて下さいましよ」と云ふやうな意味を、私には眞似は出來ないけれど、此の地方特有の、柔和であつて何處かずるさうな心持のする言葉で云ふ。
私は最初、此のお婆さんたちを乞食ではないかと思つたのだが、さうでないことは彼女たちの服裝を見てすぐと分つた。