此の五六人の婆さんたちは、友禪の長襦袢姿でもなく、黒縮緬の紋附でもなく、夕方なので尚更縞目のよく分らない、地味な木綿の綿でふくれた布子を着て、皆同じやうに白足袋を穿いてゐる樣子が、見た目に哀れで、つゝましやかである。
そしてこんなに似た婆さんが揃つたと云ふのも不思議であるが、どの婆さんもどの婆さんも、實に可愛らしい、せいの低い、背中の圓い人々で、小柄な顏は黄色味を帶びて青白く冴え、落ち窪んだ眼は清しく輝やいてゐるのである。
それは誰にでも、遠い昔に亡くなつた自分の母や伯母の俤を思ひ出させる、品のいゝ懷しい婆さんたちである。