たつた一つ、さつきの婆さんの持ち物よりも派手なのは、赤地に金の模樣のあるその舞扇だけであつたが、身なりがみすぼらしいせゐか、それが一層きらびやかに、風流に感ぜられるのであつた。
間もなく私は、お堂の石段を上つて行つて、舞臺の手すりに靠れながら、下で踊つてゐるその可愛らしいお婆さんたちを長い間瞰おろしてゐた。
だん/\夕闇の迫つて來る中に、お婆さんたちの子供のやうな小さな姿は次第にうすくぼやけて行つて、しまひにはたゞ舞扇の金の色だけがきらきらと光つた。
たつた一つ、さつきの婆さんの持ち物よりも派手なのは、赤地に金の模樣のあるその舞扇だけであつたが、身なりがみすぼらしいせゐか、それが一層きらびやかに、風流に感ぜられるのであつた。
間もなく私は、お堂の石段を上つて行つて、舞臺の手すりに靠れながら、下で踊つてゐるその可愛らしいお婆さんたちを長い間瞰おろしてゐた。
だん/\夕闇の迫つて來る中に、お婆さんたちの子供のやうな小さな姿は次第にうすくぼやけて行つて、しまひにはたゞ舞扇の金の色だけがきらきらと光つた。