だから季節は晩春か初秋、―――多分晩春であつたと思ふ。
兎に角、もう恒川の家に納まつてゐると云ふ一代の麗人に初見参をすべく、好奇心に胸を躍らせながら、精々めかし込んで出かけたらうことはお察しを願ひたい。
行つて見ると、二人は恒川の家にゐないで、そこから数丁を隔てた穏田の方にある、彼の義兄で当時政友会の代議士であつた風間礼助氏の邸に預けられてゐた。
だから季節は晩春か初秋、―――多分晩春であつたと思ふ。
兎に角、もう恒川の家に納まつてゐると云ふ一代の麗人に初見参をすべく、好奇心に胸を躍らせながら、精々めかし込んで出かけたらうことはお察しを願ひたい。
行つて見ると、二人は恒川の家にゐないで、そこから数丁を隔てた穏田の方にある、彼の義兄で当時政友会の代議士であつた風間礼助氏の邸に預けられてゐた。