私は岡本夫妻に対して一時はひどく腹が立つたが、考へてみれば、彼等を責めるより前に自分を責めるのが順序であり、それに、矢張心の奥底には恒川に対する妙な反感が潜んでゐて、一平君の素ツ葉抜きを痛快に感ずる気持もないではなかつた。
そして私は、「時がたてば分る」といふ風な、持ち前のづう/\しさと横着とから、それきり何の手段も取らずに、一日も早くその不愉快を超越するやうに努めたのであつた。
恒川の方は、その後金の問題も巧く解決がついたと見えて、首尾よく思ひを遂げたことは世間周知の通りである。
私は岡本夫妻に対して一時はひどく腹が立つたが、考へてみれば、彼等を責めるより前に自分を責めるのが順序であり、それに、矢張心の奥底には恒川に対する妙な反感が潜んでゐて、一平君の素ツ葉抜きを痛快に感ずる気持もないではなかつた。
そして私は、「時がたてば分る」といふ風な、持ち前のづう/\しさと横着とから、それきり何の手段も取らずに、一日も早くその不愉快を超越するやうに努めたのであつた。
恒川の方は、その後金の問題も巧く解決がついたと見えて、首尾よく思ひを遂げたことは世間周知の通りである。