私は瀧田樗陰君が誘ひに来てくれる約束だつたので、氏の来訪を待つて、一緒に出掛けた。
その頃のことだから勿論自動車などへは乗らない。
神保町から電車で芝の山内へ行つたのだが、瀧田君は吊り革にぶら下りながら、私の姿を見上げ見下ろして、「谷崎さん、今日はあなた、すつかり見違へましたね」と云ふのであつた。
私は瀧田樗陰君が誘ひに来てくれる約束だつたので、氏の来訪を待つて、一緒に出掛けた。
その頃のことだから勿論自動車などへは乗らない。
神保町から電車で芝の山内へ行つたのだが、瀧田君は吊り革にぶら下りながら、私の姿を見上げ見下ろして、「谷崎さん、今日はあなた、すつかり見違へましたね」と云ふのであつた。