私は大広間にずらりと居流れた人々を見渡したけれども、殆ど一人も知つた顔はなかつた。
右隣りも左隣りも未知の先輩であつた。
「パンの会」の時は何と云つても傾向を同じうする若い作家ばかりであつたから、会ふのは始めてゞも互に気心が分つてゐたが、今日の出席者はあの時より更に多人数である上に、古いところでは硯友社系の諸豪を筆頭に、三田系、早稲田系、赤門系、それに女流作家も参加し、その外文展系院展系の画伯連、政論家文藝批評家等、紛然雑然としてゐるので、何処に誰がゐるのやら見当もつかない。
私は大広間にずらりと居流れた人々を見渡したけれども、殆ど一人も知つた顔はなかつた。
右隣りも左隣りも未知の先輩であつた。
「パンの会」の時は何と云つても傾向を同じうする若い作家ばかりであつたから、会ふのは始めてゞも互に気心が分つてゐたが、今日の出席者はあの時より更に多人数である上に、古いところでは硯友社系の諸豪を筆頭に、三田系、早稲田系、赤門系、それに女流作家も参加し、その外文展系院展系の画伯連、政論家文藝批評家等、紛然雑然としてゐるので、何処に誰がゐるのやら見当もつかない。