中村君は手持ち無沙汰で困つてゐる私に、「此の頃は何かお書きですか」などゝあの重い口で二た言三言尋ねてくれたけれども、私は此の古き「無花果」の作者、新帰朝後に「牧師の家」を書いて以来戯曲家として立つてゐる此の人とどんなことを話したか覚えがない。
たゞ同君の人柄の如何にも謙譲で温良らしいのに好印象を受けた。
しかし私もその時分からそろ/\酒が利いて来たのと、中村君のお蔭で少し勇気が出たせゐであらう、一人に紹介されると直ぐその人から次へ紹介されながら、段々ノサバリ出して行つた。
中村君は手持ち無沙汰で困つてゐる私に、「此の頃は何かお書きですか」などゝあの重い口で二た言三言尋ねてくれたけれども、私は此の古き「無花果」の作者、新帰朝後に「牧師の家」を書いて以来戯曲家として立つてゐる此の人とどんなことを話したか覚えがない。
たゞ同君の人柄の如何にも謙譲で温良らしいのに好印象を受けた。
しかし私もその時分からそろ/\酒が利いて来たのと、中村君のお蔭で少し勇気が出たせゐであらう、一人に紹介されると直ぐその人から次へ紹介されながら、段々ノサバリ出して行つた。