すると私の前にゐた女中が、「あなた、六代目さんに似ていらつしやるわねえ」と云つたのを、瀧田君が聞き咎めてわい/\囃し立てた。
私は内心大いに嬉しいのを我慢して、ニヤニヤしながら脂下つてゐると、思ひなしかその女中は私の根切笹の紋を珍しさうに見てゐるやうなので、これには私も気が揉めたことであつた。
かうと知つたら笹沼の紋附きを借りて来るのではなかつたのに、全く千慮の一失であつた。
すると私の前にゐた女中が、「あなた、六代目さんに似ていらつしやるわねえ」と云つたのを、瀧田君が聞き咎めてわい/\囃し立てた。
私は内心大いに嬉しいのを我慢して、ニヤニヤしながら脂下つてゐると、思ひなしかその女中は私の根切笹の紋を珍しさうに見てゐるやうなので、これには私も気が揉めたことであつた。
かうと知つたら笹沼の紋附きを借りて来るのではなかつたのに、全く千慮の一失であつた。