私は内心大いに嬉しいのを我慢して、ニヤニヤしながら脂下つてゐると、思ひなしかその女中は私の根切笹の紋を珍しさうに見てゐるやうなので、これには私も気が揉めたことであつた。
かうと知つたら笹沼の紋附きを借りて来るのではなかつたのに、全く千慮の一失であつた。
私は八方から盃を貰ひ、いろ/\の人から讃辞や激励の言葉を浴びせられ、次第に有頂天になつて、瀧田君を促しつゝ徳田秋声氏の前へ挨拶に行つた。
私は内心大いに嬉しいのを我慢して、ニヤニヤしながら脂下つてゐると、思ひなしかその女中は私の根切笹の紋を珍しさうに見てゐるやうなので、これには私も気が揉めたことであつた。
かうと知つたら笹沼の紋附きを借りて来るのではなかつたのに、全く千慮の一失であつた。
私は八方から盃を貰ひ、いろ/\の人から讃辞や激励の言葉を浴びせられ、次第に有頂天になつて、瀧田君を促しつゝ徳田秋声氏の前へ挨拶に行つた。